シフト作成の効率化とは、希望提出・作成・確定共有という3つの工程を先に型として決めた上で、紙やExcelでの手作業をテンプレートやシフト管理システムによる自動化に置き換えることです。多くの店舗では、店長や責任者がスタッフの希望をLINEや口頭で集め、Excelや手書きの表に転記しながら人員基準と突き合わせるという作業を毎月繰り返しています。この手作業の多さこそが、シフト作成に時間がかかる最大の原因です。本記事では、シフト作成が非効率になる原因から、法律上の留意点、効率化の5ステップ、ツール比較、業種別の工夫、やってはいけないNG対応まで、店舗経営支援の実務を踏まえて解説します。

この記事は、飲食店・美容室・小売店などでシフト作成を担当する店長・店舗責任者、複数店舗のシフトを統括する経営者向けです。

※ 2026年8月時点の情報です。

この記事でわかること

  • シフト作成が非効率になる3つの原因
  • シフト作成前に知っておきたい法律上の留意点
  • シフト作成を効率化する5ステップ
  • エクセルとシフト管理システムの比較・選び方

シフト作成とは?店舗で負担になっている実態

シフト作成とは、スタッフの勤務希望と時間帯ごとの必要人員を照らし合わせ、働く日時を確定させる業務のことです。

シフト作成とは、スタッフの勤務希望を集める工程・時間帯ごとの人員基準と突き合わせる工程・確定した内容を共有する工程の3つに分解できる業務を指します。この3工程のどこか一つでも手作業のまま残っていると、店舗全体の負担は減りません

株式会社クロスビットが2025年3月に実施した「シフト管理に関する実態調査2025」(シフト管理担当者1,242人対象)によると、紙で希望を回収しExcelで管理する店舗が47.7%と最多で、紙・Excelによる運用は全体の7割を超えています。一方で同調査ではシフト管理システムの導入率は25.0%にとどまっており、多くの店舗がいまだにアナログな方法でシフトを組んでいることが分かります。

私たちがG-ranで3,200店舗以上の運営を支援してきた中でも、シフト作成に毎月何時間もかけている店舗ほど、他の管理業務や接客の質にしわ寄せが出ている傾向を数多く見てきました。シフト作成は「慣れれば早くなる」業務ではなく、仕組みを変えない限り負担が減りにくい業務。

シフト作成が非効率になる3つの原因

シフト作成が非効率になる原因は、急な変更対応・手作業への依存・希望調整の難しさという3つに集約されます。

シフト作成が非効率になる3つの原因: 急な欠勤や変更への対応に追われる、紙やExcelでの手作業に時間がかかる、スタッフごとの希望や制約の調整が難しい
シフト作成が非効率になる3つの原因

前述のクロスビットの調査では、シフト管理の課題として「急な変更対応が大変」32%、「シフト作成に時間がかかる」30%、「人員バランス調整が難しい」28.3%が上位を占めています。この3つは独立した問題ではなく、手作業で組んだシフトほど変更に弱く、変更のたびにまた手作業で組み直すという悪循環を生んでいます。

背景には人手不足の構造的な問題もあります。帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査」(2026年1月時点)によると、飲食店の非正社員の人手不足割合は58.6%で、前年から2.1ポイント改善したものの、依然として半数以上の店舗が人手不足を感じています。人が足りない状態でシフトを組もうとすれば、限られたスタッフの希望と制約を調整する難易度はさらに上がります。

一人ひとりの希望や制約が多いほど、Excelの目視確認だけでは組み合わせのミスに気づきにくくなる点も見落とされがちです。ミスに気づくのがシフト確定後になると、修正のための連絡や再調整でさらに時間を取られるという悪循環につながります。

シフト作成前に押さえておきたい法律上の留意点

シフト作成で法律上押さえておくべきなのは、労働条件の明示と、確定したシフトをできるだけ早く伝えるという2点です。

厚生労働省「いわゆる『シフト制』により就業する労働者の適切な雇用管理を行うための留意事項」(2022年1月公表、2024年6月改正)では、シフト制について「労働契約の締結時点では労働日や労働時間を確定的に定めず、一定期間ごとに作成される勤務シフトなどで、初めて具体的な労働日や労働時間が確定するような勤務形態」と定義しています。

明示すべき事項 内容
契約期間・更新基準 契約期間の定めと、更新する場合の判断基準
就業場所・従事する業務 実際に働く場所と担当業務の範囲
始業・終業・休憩・休日 シフトによって変動する場合の考え方
シフトの決定・変更方法 誰がいつまでにシフトを確定させるかのルール

この留意事項が作成された背景には、使用者の都合でほとんどシフトが入らない、逆に希望を超えるシフトを入れられるといった労使トラブルが増えていたことがあります。シフト表を配るタイミングが遅く、確定後の変更連絡も口頭だけという運用は、この留意事項が求める方向性とは逆行しています。

多店舗展開している企業ほど、店舗ごとにシフトの決定・変更ルールがバラバラになりがちです。本部でルールを統一し、各店舗がそのルールに沿って運用できる状態を作ることが、法令面のリスクを減らす第一歩。

シフト作成を効率化する5ステップ

シフト作成の効率化は、希望提出のルール化から確定後の通知まで、5つのステップに分けて進めます。

シフト作成を効率化する5ステップ: 希望提出のルールと期限を決める、時間帯ごとの必要人員を数値化する、希望と基準をツールで突き合わせる、確定前に例外対応のルールを決める、確定後は早めに通知し履歴を残す
シフト作成を効率化する5ステップ

第一に、希望提出のルールと期限を決めます。LINEや口頭でバラバラに集めるのではなく、フォーマットと締切日を固定し、期限後の追加希望は原則受け付けない運用にすると、集計の手戻りが減ります。

第二に、時間帯ごとの必要人員を数値化します。「なんとなく人が足りている感覚」ではなく、ランチタイムは3人、アイドルタイムは1人のように基準を数字で決めておくと、次の突き合わせ作業が速くなります。

第三に、希望と基準をツールで突き合わせます。Excelの関数やシフト管理システムを使えば、希望を入力するだけで人員基準との過不足を自動で表示できます。

第四に、確定前に例外対応のルールを決めます。急な欠勤が出た場合に誰が優先的に代替に入るか、事前に順番を決めておくことで、欠員発生時にゼロから調整する時間をなくせます。

第五に、確定後はできるだけ早く通知し、変更履歴を残します。確定が遅いほどスタッフ側の予定調整が難しくなり、直前の変更依頼が増える原因になります。

私たちがG-ranで店舗の業務改善を支援した際も、この5ステップを型として導入した店舗ほど、シフト作成にかかる時間の削減を早く実感していました。ツールを入れる前に、まず工程を型にすることが効率化の土台になります。

エクセル・紙とシフト管理システムの比較

エクセルや紙での運用とシフト管理システムでは、費用の安さと作業時間の短さのどちらを優先するかで選び方が変わります。

比較項目 エクセル・紙 シフト管理システム
導入費用 ほぼ無料 月額費用がかかる
作成にかかる時間 手作業が多く時間がかかる 自動突き合わせで短縮できる
希望収集の手間 LINE・口頭からの転記が必要 フォームで直接入力できる
共有・通知 印刷や個別連絡が必要 スマホで即時共有できる
変更履歴の管理 残りにくい 自動で記録される

スタッフ数が10名程度までであれば、Excelでの運用でも大きな負担にはなりません。スタッフ数や店舗数が増えるほど、突き合わせの組み合わせが指数的に増え、Excelの目視確認では対応しきれなくなります。

システム導入を迷う店舗には、まず無料プランや試用期間があるサービスで、希望収集から確定通知までの一連の流れを試してみることをおすすめします。費用対効果は、シフト作成にかけている時間を時給換算してから比較すると判断しやすくなります。

業種で変わるシフト作成の効率化ポイント(飲食・美容室・小売)

シフト作成で優先すべき効率化ポイントは、飲食店・美容室・小売店で異なります。

業種 シフト作成が難しくなる要因 効率化のポイント
飲食店 ランチ・ディナーの繁閑差が大きい 時間帯別の人員基準を細かく設定する
美容室・サロン 指名予約に合わせた個人の稼働調整が必要 予約状況と連動させて希望を調整する
小売店 曜日・時間帯で来客数が大きく変動する 過去の来客データを基準数値に反映する

飲食店では、ランチとディナーで必要な人員がまったく異なるため、時間帯を区切らずに「1日◯人」とだけ決めると過不足が起きやすくなります。時間帯ごとの基準を細かく設定することが、無駄な人件費と欠員の両方を防ぐポイントです。

美容室・サロンでは、指名予約が入っているスタッフの稼働を優先的に確保する必要があります。予約状況を見ずにシフトを組むと、指名客の来店日に担当スタッフが休みという事態が起こりやすくなります。

小売店では、セールや近隣イベントなど来客数が変動する要因を事前に把握し、過去の来客データを人員基準に反映させると、感覚に頼らない人員配置ができます。

シフト作成でやってはいけないNG例と注意点

シフト作成でやってはいけないのは、希望や変更を記録に残さないことと、確定したシフトの通知を後回しにすることです。

シフト作成のNG対応とOK対応: NG例は口頭やLINEだけで希望を集め記録を残さない・欠員が出るたびに手作業で全体を組み直す・確定したシフトをぎりぎりまで通知しない・特定のスタッフにだけ調整を頼り続ける、OK例は希望提出のフォーマットと期限を統一する・人員基準を先に決め自動で突き合わせる・確定後はできるだけ早く通知し履歴を残す・代替対応のルールをあらかじめ決めておく
シフト作成のNG対応とOK対応
注意: 特定のスタッフへの調整依存はNG
急な欠勤が出るたびに、決まった一人だけに代替出勤を頼る運用を続けると、そのスタッフの不満が蓄積し、離職につながります。シフト調整の負担が特定の個人に集中している状態は、早期に見直すべきサイン。

もう一つの注意点は、確定したシフトの通知をぎりぎりまで先延ばしにすることです。通知が遅いほどスタッフ側の予定調整が難しくなり、結果として直前の変更依頼や欠勤の申し出が増えます。

口頭やLINEだけで希望や変更のやり取りを完結させるのも避けたいNG対応です。「言った・言わない」のトラブルは記録が残っていれば防げるものがほとんどで、記録を残す習慣そのものが労務トラブルの予防策になります。

シフト作成を効率化した後に見直すべきこと

シフト作成を効率化した後は、削減できた時間を人員基準の見直しやスタッフとの対話に振り向けることが次の課題になります。

効率化によって作成時間が短縮できても、そのまま人員基準を放置すると、実態とずれた基準のままシフトが組まれ続けてしまいます。月に一度は基準の数値を実績と照らし合わせて見直す機会を作ってください。

シフト作成の型が整った後は、採用や教育の仕組みも合わせて見直すと効果が長続きします。スタッフの定着に課題を感じている場合はアルバイトの早期離職を防ぐには?、新人教育の仕組みづくりは店舗スタッフの教育マニュアルの作り方を参考にしてください。

シフト作成を含む店舗運営全体を任せられる店長の育成も、多店舗展開を目指す企業にとって欠かせないテーマです。詳しくは店長育成の方法6ステップで解説しています。人員基準を見直した結果、増員が必要だと分かった場合は、求人票の書き方も合わせて確認してください。

よくある質問

シフト作成の効率化で最初に取り組むべきことは何ですか?

希望提出・作成・確定共有の3工程を型にし、手作業をテンプレートかツールに置き換えることです。

エクセルでのシフト管理はどこまで通用しますか?

スタッフ10名前後までは運用できますが、それ以上は確認作業の負担が急激に増えます。

シフト管理システムを導入するとどれくらい負担が減りますか?

希望の集約や人員基準との突き合わせが自動化され、作成時間を大きく圧縮できます。

シフト作成で法律上気をつけるべき点はありますか?

労働条件の明示と、確定したシフトをできるだけ早く通知することが求められています。

急なシフト変更が多い店舗はどう対応すればいいですか?

代替対応のルールを事前に決め、空き状況をツールで共有しておくことです。

まとめ: シフト作成の効率化は「工程を型にすること」から始まる

シフト作成の効率化は、ツール選びより先に、希望提出・作成・確定共有という3つの工程を型として決めることから始まります。型が整えば、Excelのままでも負担は減らせますし、シフト管理システムを導入したときの効果もさらに大きくなります。まずは希望提出のフォーマットと締切日を決めるところから着手してください。

厚生労働省の留意事項が示すとおり、シフト作成は単なる業務効率の問題ではなく、労務管理としての側面も持っています。効率化と法令順守の両方を満たす運用を、今のうちに整えておくことが、人手不足が続く中でスタッフに選ばれる店舗づくりにつながります。